目次
深呼吸の大事

― ミニマルな生活の実験として ―
みなさん、最近、意識して深呼吸をしていますか?
この記事をきっかけに、
いまここで一緒に深呼吸をしてみましょう。
ゆっくり吸って
ゆっくり吐いて
これを3回行います。
吸って、吐いて
吸って、吐いて
吸って、吐いて
はい。
それでは先ほどよりも少しだけ、
「呼吸がどこに入っていくか」を意識しながら、もう一度深呼吸をしてみましょう。
最初よりも、自分の呼吸を意識できているはずです。
……
いかがでしたか。
少しでも、頭や体が落ち着いた感覚はありましたか?
ミニマルな生活の実験としての深呼吸
この深呼吸は、健康法というよりも、
私のブログで続けている
「ミニマルな生活の実験」
の一つとして捉えています。
視点はとてもシンプルです。
- 何も買わずにできるか
- 生活の負担を増やさずに取り入れられるか
- 体調管理を外に任せすぎず、自分でできることを増やせるか
深呼吸は、
道具も、アプリも、サービスも必要ありません。
生活の質を少し整えるために、
新しいモノを増やさずにできる行動です。
これは、
「体を整えるために、まず買わない」
という、ミニマルな暮らしの実験でもあります。
回復や切り替えにかかる時間を減らせるか
忙しい日常の中では、
疲れたときに
- マッサージに行く
- 整体に行く
といった選択肢もあります。
もちろん、それ自体を否定するものではありません。
ただ、日常の中で一番小さな行動でできるリセットは、
深呼吸かもしれません。
正確に言えば、
深呼吸によって
疲労が必ず回復する、とは言えません。
一方で、
ゆっくりとした呼吸が自律神経活動に影響し、
リラックス反応と関連することは報告されています。
▶ Russo MA, et al.
The physiological effects of slow breathing in the healthy human.
Frontiers in Human Neuroscience, 2017
健康な人間におけるゆっくりとした呼吸の生理学的効果
このレビューでは、
ゆっくりした呼吸が
心拍変動などの指標を通して、
自律神経活動に影響を与える可能性が示されています。
したがって、
深呼吸は
「疲れを取る方法」ではなく、
「切り替えを早くする可能性がある行動」
として捉えるのが、正確だと考えています。
体調管理を外注しすぎないという視点
現代は、
少し不調を感じると、
すぐにサービスや商品に頼る選択肢が目に入ります。
深呼吸は、
自分の体の状態を観察するという、
とても原始的な行為です。
体の管理をすべて外に任せるのではなく、
まず自分で気づく
という意味でも、
ミニマルな実験だと思っています。
深い呼吸と筋緊張について

ここは誤解されやすい部分なので、正確に書きます。
深い呼吸をすると、
必ず筋肉が緩む
関節の可動域が広がる
と断定できるエビデンスは、現時点では限定的です。
ただし、
呼吸と筋緊張は神経系を介して関連している可能性がある
ことは、複数の研究で示唆されています。
たとえば、呼吸と筋活動の関係については、以下の報告があります。
▶ Courtney R.
The functions of breathing and its dysfunctions and their relationship to breathing therapy.
International Journal of Osteopathic Medicine, 2009
呼吸の機能とその機能不全、そして呼吸療法との関係呼吸の機能とその機能不全、そして呼吸療法との関係
この論文では、
- 呼吸パターンの変化が
- 体幹や姿勢筋の活動と関係する可能性
が整理されています。
また、
呼吸と副交感神経活動の関係は、
先ほどのRussoらのレビューでもまとめられています。
これらを踏まえると、正確な表現としては、
深い呼吸によって神経系の活動が変化し、
結果として筋緊張が一時的に低下する可能性がある
と考えられます。
関節の可動域が変わることについて
これについても、
深呼吸だけで関節可動域が必ず改善する
という強いエビデンスは多くありません。
しかし、
呼吸を用いたリラクゼーションや横隔膜呼吸が、
柔軟性や可動域と関連した変化を示した研究は存在します。
一例として、
▶ Chen YJ, et al.
Effect of diaphragmatic breathing on shoulder mobility and muscle activity
(※肩関節の可動性と筋活動への影響を調べた研究)
※正確な論文タイトル・詳細は分野横断的で複数存在します
健康な若年成人における横隔膜呼吸の体幹・肩関節可動性および肺機能への急性影響
※この分野は研究数が多く、条件や対象がばらついています。
現時点では、
深い呼吸が、筋緊張の低下や可動域の変化と関連する可能性がある
という慎重な表現が妥当です。
巻き肩と呼吸のしにくさについて

デスクワークが多い人に、
前かがみ姿勢や肩が前に出る姿勢が多いことは報告されています。
巻き肩の状態では、胸を張って肩甲骨を寄せる姿勢そのものを意識しにくくなります。
その結果、胸郭(肋骨まわり)の動きが小さくなり、呼吸が浅くなりやすいと一般にいわれています。
実際に、
胸を張り、肩甲骨を軽く寄せた姿勢を取って深く呼吸してみると、
姿勢が崩れた状態よりも胸まわりが動きやすくなり、
より多く空気を吸えていると体感できる場合があります。
※これは医学的な酸素摂取量を測定した結果ではなく、
あくまで姿勢の違いによる主観的な体感である点には注意が必要です。
ただし、
深い呼吸によって筋の緊張がゆるみやすくなり、
結果として関節の可動域が広がると感じるケースがあることは、
リラクゼーションや呼吸指導の分野でも一般的に知られています。
(※姿勢や呼吸と身体機能の関係については、個人差が大きいため、痛みや不調がある場合は専門家への相談が推奨されます)
▶ Szeto GPY, et al.
Work-related musculoskeletal symptoms in office workers
外科医の職業性筋骨格症状
このような姿勢では、
胸郭の動きが小さくなり、
結果として呼吸が浅くなりやすい可能性があります。
まずは「気づく」ことから始める
自分の姿勢や呼吸の浅さは、
多くの場合、自分では気づきにくいものです。
横から自分の写真を撮ってみる、
家族に姿勢を見てもらう。
こうした小さな行動も、
体調管理を外注しすぎないための、
立派なミニマルな実験だと思っています。
まとめ
深呼吸は、
- 何も買わずにできる
- 生活に負担を増やさずに取り入れられる
- 体の管理を自分の手に少し戻すことができる
という点で、
私にとっては、
「健康法」ではなく
「ミニマルな生活の実験」
の一つです。
※呼吸や姿勢による不調が強い場合は、
医師や理学療法士などの専門家に相談することをおすすめします。
Thank you for reading Labo Life.



