「外来種」「害虫」という言葉は、とても当たり前のように使われていますが、そもそもその定義はどこにあるのでしょうか。
外来種とは、本来その地域に自然分布していなかった生き物が、人為的な移動によって持ち込まれ、定着したものを指します。一方で害虫とは、人間の生活や農業に被害を与えると判断された虫のことです。
ここで重要なのは、害虫という概念は完全に人間目線で決められているという点です。虫にとっては、生きるために食べ、増え、環境に適応しているだけで、それ自体に「害を与えよう」という意図はありません。
目次
人目線が生き物を「害」に変える
人間にとって都合が悪くなった瞬間、生き物は害虫・害獣と呼ばれます。
パンダが減れば保護し、増やす努力をする。一方で、カラスが増えれば駆除対象になる。かつて日本では、日本狼が「危険」「不要」とされ、結果的に絶滅へ追い込まれました。
善悪ではなく、人間社会にとって都合が良いか悪いかで、生き物の扱いは大きく変わります。
外来種問題と在来種の役割
外来種が問題視される理由は、単に「よそ者だから」ではありません。
- 天敵がいない
- 繁殖力が高い
- 在来種の居場所や餌を奪う
こうした要因が重なることで、生態系のバランスが崩れます。在来種は長い時間をかけて、その土地の気候・土壌・他の生物と共存する役割を担ってきました。
生態系が変わると、次に起こるのは人間側の対処です。農薬が開発され、外来種は「駆逐すべき存在」になります。しかしその農薬は、標的以外の虫や土壌、生態系全体にも影響を与える可能性があります。
虫の肩を持つつもりはありませんが、人が作った流れの中で翻弄される存在であることは、少し気の毒にも感じます。
食文化と外来種の矛盾
日本ザリガニ、ブラックバス、ウシガエルなども、もともとは食料や資源目的で人が持ち込んだ生き物です。
ブラックバスは現在、釣り文化の一部として完全に組み込まれています。一方で、外来魚として問題視され、リリースが禁止される水域もあります。
この矛盾は、外来種問題の難しさを象徴しています。
外来種の取り扱いと法律、そしてモラル
日本では「特定外来生物法」などの法律が制定され、外来種の飼育・運搬・放流が規制されています。また、准外来種など、リスクに応じた区分も設けられています。
しかし現実的に、リリース行為を完全に取り締まることは困難です。最終的に問われるのは、法律よりも個人のモラルです。
チュウゴクアミガサハゴロモという現実
最近、庭でも見かけるようになったチュウゴクアミガサハゴロモも、まさにこうした流れの中にあります。気づけば勢力を拡大し、「問題」となってから行政が動き始める。
どうしようもなくならないと動けない。声が上がらないと動かない。
それが、今の現実です。
チュウゴクアミガサハゴロモの基礎情報(補足)
学名・分類
和名:チュウゴクアミガサハゴロモ
学名:ochazia shantungensis
分類:動物界 > 節足動物門 > 昆虫綱 > 有翅昆虫亜綱 > 半翅目(カメムシ目) > 同翅亜目 > ハゴロモ科
原産地・分布
- 原産:中国本土
- 他国での侵入報告:韓国、台湾、アメリカなど
外見・特徴
- 体長:約2〜3cm
- 翅に網目状の模様がある
- 成虫は跳躍力が高い
生態
- 発生時期:6〜10月に多いとされる
- 幼虫・成虫ともに樹液を吸う
- 果樹(ブドウ、イチジク、カキ)、庭木、雑木など幅広く吸汁
被害例
- 樹勢の低下、枝枯れ
- 吸汁により排出される甘露が「すす病」の原因になる
防除上の注意
- 2026年2月執筆時点では、日本国内で農薬登録は確認されていない
- 早期発見と手作業での捕殺が現実的な対策とされる
- 各県で注意喚起が行われている
外来種問題は、単純な善悪では語れません。
人が動かし、人が増やし、人が困り、人が排除する。
その循環の中で、私たちはどこまで責任を持てるのか。
庭にいる一匹の虫から、そんなことを考えさせられます。
Thank you for reading this blog, everyone 🙂




