「最近、魚が高くなった」「種類が減った気がする」
このように感じている方は少なくないのではないでしょうか。
結論から言えば、
日本の食卓から魚がすぐ消える状況ではありません。
しかし、
将来的に“安定して魚を食べ続けられる社会”が揺らいでいる可能性はあります。
その背景には、
- 水産資源の減少
- 絶滅危惧種の増加
- 漁業者の高齢化と人手不足
- 養殖への依存拡大とその限界
という、複数の構造的な問題があります。
目次
日本の海の生き物には「準絶滅危惧種」「絶滅危惧種」が実在する
身近な魚もレッドリストに含まれている
環境省レッドリストでは、研究者しか知らないような魚だけでなく、
日本人にとって比較的なじみのある魚も評価対象になっています。
代表的な例をいくつか挙げます。
ニホンウナギ(Anguilla japonica)

日本人にとって最も身近な魚の一つが、ニホンウナギです。
環境省レッドリストでは、ニホンウナギは
**「絶滅危惧ⅠB類」**に分類されています。
分類:絶滅危惧ⅠB類
公式資料(環境省)
ニホンウナギは、
- 稚魚(シラスウナギ)の減少
- 生息環境の悪化
- 国際的な資源管理の難しさ
などが問題とされています。
なお、ウナギについては
国際自然保護連合(IUCN)でも絶滅危惧種に指定されています。
IUCN Red List(Japanese eel)
https://www.iucnredlist.org/species/166184/1117791
イトウ(日本最大級の淡水魚)

環境省レッドリストでは、
絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い種)
に分類されています。
分類:絶滅危惧ⅠA類
北海道を中心に生息する「イトウ」も、比較的よく知られた魚です。
※釣りや自然番組などで見聞きしたことがある方も多い魚です。
アカメ(高級魚として知られる魚)

西日本の一部河川や汽水域に生息するアカメも、
国内では有名な大型魚です。
分類:絶滅危惧ⅠA類
西日本の一部河川や汽水域に生息するアカメも、
国内では有名な大型魚です。
アカメも環境省レッドリストでは
絶滅危惧ⅠA類に分類されています。
アユモドキ(名前はよく知られている淡水魚)

岡山県を含む西日本の一部地域に生息していたことで知られる
アユモドキも、レッドリスト掲載種です。
分類:絶滅危惧ⅠA類
「ウナギだけの問題ではない」という点が重要
ニホンウナギは特に有名ですが、
実際には、
- 河川と海を行き来する魚
- 汽水域に依存する魚
- 特定の環境でしか生きられない魚
が、日本各地で同時に減少していることが、
環境省の評価から読み取れます。
つまり、
ウナギだけが特別に危ないのではなく、
日本の水域環境そのものが、多くの魚にとって厳しくなっている可能性があります。
※本節で示した分類は、
環境省レッドリスト(2020年版/2026年2月時点で最新の確定版)に基づいています。
※個別種の分布や保護状況の詳細は、環境省または各都道府県の公式資料を確認することをお勧めします。
日本では、環境省が野生生物の絶滅リスクを評価した
レッドリストを公表しています。
公式情報はこちらです。
環境省 レッドリスト(2020年版・最新版扱い)
https://www.env.go.jp/press/108278.html
(※2025年2月時点で有効な公式ページ)
このリストでは、
- 絶滅危惧Ⅰ類
- 絶滅危惧Ⅱ類
- 準絶滅危惧
などに分類され、多くの魚類・海洋生物が含まれています。
👉 つまり、
日本の周辺海域に生息する魚の中にも、絶滅リスクが指摘されている種がすでに存在しています。
世界的にも水産資源は「限界に近づいている」
国連食糧農業機関(FAO)が公表している
世界水産資源の最新評価では、
👉 持続可能な水準を超えて利用されている漁業資源が増えている
と明記されています。
FAO(2022年版 SOFIA 報告書・最新確定版)
https://www.fao.org/3/cc0461en/cc0461en.pdf
要点として、
- 世界の水産資源の約3分の1以上が「過剰漁獲」と評価
- 持続的に利用できている資源の割合は減少傾向
とされています。
※正確な割合は報告書内の年次により変動するため、
ここでは概数表現に留めます。
日本の漁業も例外ではない
日本の公式データは水産庁が公表しています。
令和5年度 水産白書(最新版)
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/index.html
この白書では、
- 漁業就業者数が長期的に減少していること
- 漁業者の高齢化が進行していること
が明記されています。
👉 特に重要なのは、
資源の問題だけでなく、担い手が減っていることです。
「養殖技術の向上と設備が必要」は事実です
近年、日本では養殖への期待が非常に高まっています。
水産庁も公式に、
- 養殖業の成長産業化
- スマート水産業
- 陸上養殖技術
などを推進しています。
水産庁 養殖業成長産業化総合戦略
https://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/yousyoku.html
しかし注意点として、
養殖は「万能な解決策」ではありません。
理由として、
- 飼料(魚粉・魚油)を多く輸入に依存している
- 設備投資が高額
- 病気や赤潮などのリスクが残る
という課題が、国の資料でも繰り返し指摘されています。
本当に不足しているのは「技術」と「人」
養殖設備が整っても、
- 生産管理
- 水質管理
-疾病対応 - 経営管理
を担える人材がいなければ、産業として成立しません。
水産白書でも、
人材育成と経営体の強化が不可欠
であることが明記されています。
(出典:前掲 水産白書)
自治体がすべき役割は何か?
結論として、国の方針でも
自治体には次の役割が期待されています。
- 地域水産業の担い手確保
- 研修・就業支援
- 地域ブランド化
- 流通・販路支援
これは推測ではなく、国の施策体系に基づいたものです。
少子高齢化社会でも「食」は軽視できない
日本は急速な少子高齢化社会に入っています。
しかし、
食料は社会インフラです。
輸入に大きく依存する現在の日本において、
水産物の国内供給力を維持できるかどうかは、
将来の食料安全保障と直結します。
農林水産省も「食料安全保障」の中で、
国内生産基盤の重要性を明示しています。
農林水産省 食料安全保障
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/index.html
今後は「自力」が必要になる社会かもしれない
ここで言う「自力」とは、
個人がすべて自給自足するという意味ではありません。
- 地域で食を支える産業が残るか
- 人材が地域に循環するか
- 技術が地域に蓄積されるか
という、
地域単位の持続力が問われているという意味です。
日本は魚を食べて生きてきた国である
日本は長い歴史の中で、
- 魚介類を中心とした食文化
- 地域ごとの漁法
- 保存・加工技術
を発展させてきました。
現時点で、
「日本人が肉より魚を好むかどうか」を示す
統一的な最新全国統計は限定的です。
したがって、
「まだまだ魚食文化を大切にしたい人が多い」
という点については、
社会的実感としては妥当と考えられますが、定量的根拠は十分とは言えません。
まとめ|魚が消えるかどうかは、まだ決まっていない
現時点の結論として、
- 日本の魚がすぐに食べられなくなるわけではありません。
しかし、資源、人材、経営、技術のどれが欠けても、
将来の水産供給は不安定になる可能性があります。
遠い未来ではない、未来の話なのは確かなことだと考えます。
養殖の推進も重要ですが、
✔ 設備投資
✔ 技術者の育成
✔ 自治体と地域の支援
✔ 消費者の理解
が同時に進まなければ、本当の解決にはなりません。
参考・根拠リンク(すべて公的・恒久URL)
環境省 レッドリスト
https://www.env.go.jp/press/108278.html
水産庁 令和5年度 水産白書
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/index.html
FAO 世界水産資源報告(2022)
https://www.fao.org/3/cc0461en/cc0461en.pdf
水産庁 養殖業成長産業化総合戦略
https://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/yousyoku.html
農林水産省 食料安全保障
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/index.html
※本記事の内容は
2026年2月時点で公開されている公的資料に基づいています。
※制度や施策の詳細は、実際に各自治体または水産庁に確認されることをお勧めします。
Thank you for reading this blog, everyone 🙂



